『骨盤について1』では、骨盤の構造、骨盤の役割、骨盤に付着する代表的な筋肉を、『骨盤について2』では、骨盤に付着する筋肉が硬くなると身体にどのような影響が出るかを見ていきました。今回は骨盤がどのような原因で歪んでしまうのかを見ていきしょう。
目次
骨盤の歪みのパターン
骨盤の歪みは、大きく分けて3パターンあります。
・前後(前傾・後傾)の歪み
・上下(挙上・下制)の歪み
・左右(回旋)の歪み
骨盤の歪みは、この3パターンが組み合わさって起こっています。
分かりやすく前後の歪みで説明していきます。
骨盤前傾型
骨盤前傾型は骨盤が前に傾いている状態で、上下の歪みで見ると下がって(下制して)います。
回旋の歪みで見ると内側に閉じてしまいます。
骨盤前傾型の特徴
骨盤が前傾すると…
1 反り腰:
骨盤が前に傾くと、身体のバランスを取るため腰椎のカーブが強くなってしまい反り腰になってしまいます。
2 猫背:
強くなった腰椎のカーブで崩れたバランスを取るため、胸椎を丸めて猫背に。猫背が強くなると巻肩にも。
3 首こり、肩こり:
身体のバランスを取るため反り腰や猫背になると頭の位置が前方に出てしまうので、首や肩の筋肉に負担がかかり、首こり肩こりになってしまいます。
4 腰痛:
腰椎のカーブが強くなって反り腰になると関節間が狭くなってしまい腰痛に。
反り腰になった状態で激しいスポーツなどをすると、腰椎が前方にずれてしまうすべり症になる恐れも。
5 ぽっこりお腹:
骨盤が前に傾くと、内臓を正しい位置に収めているインナーマッスルが緩んでしまい、内臓が下がってぽっこりお腹になってしまいます。
6 出っ尻:
坐骨が後方に出っ張り出っ尻に。
7 内股、X脚、XO脚:
骨盤が前に傾くと骨盤が閉じてしまいます。それに伴い、股関節は内旋してしまうので内股、X脚、XO脚に。
股関節が内旋すると大転子(大腿骨の出っ張った部分)が浮き上がってくるので、外ももの上部がボコッと出っ張る。
8 前ももが太くなる:
骨盤が前に傾くと前ももの筋肉(大腿四頭筋)が縮んだ状態になります。
その状態で普段の生活を送っていると、過度に前ももだけを筋トレしているのと変わりがなく、前ももが太くなってしまいます。
骨盤後傾型
骨盤後傾型は骨盤が後ろ傾いている状態で、上下の歪みで見ると上がって(挙上して)います。回旋の歪みで見ると外側に開いてしまいます。
骨盤後傾型の特徴
骨盤が後傾すると…
1 腰椎のカーブがなくなる(ストレートランバー):
骨盤が後ろに傾くと、身体のバランスを取るため腰椎のカーブが失われて真っ直ぐに。
腰椎のカーブが失われると椎間板に過剰な圧がかかり、椎間板ヘルニアになるリスクが上がってしまいます。さらに酷くなると、腰椎が後方に変位してしまいます。
2 背中が丸くなる:
骨盤が後ろに傾くと、身体のバランスを取るために、背中が丸くなります。背中が丸くなると、肩甲骨が外側に開いて挙上してしまうので背中の痛みや肩こりの原因になってしまいます。
3 頭部前方変位:
骨盤が後ろに傾いて背中が丸くなると、頭が前に突き出した様な状態になってしいまいます。そうなると、頭の位置のバランスを取るため、頚椎のカーブが強く(過伸展)なって首こりの原因に。さらに、肩甲骨が挙上しているため首が短く見えてしまいます。
4 バストが下がる:
背中が丸くなると、胸の筋肉(大胸筋など)が緩んでしまい、バストが下がる原因になってしまいます。
5 お尻の出っ張りがない:
骨盤が後ろに傾くと、臀筋群(お尻の筋肉)が発達しにくくなり、平たくボリュームのないお尻になってしまいます。
6 ガニ股 O脚:
骨盤が後ろに傾くと、骨盤が開いてしまいます。それに伴い、股関節が外旋してしまうのでガニ股、O脚に。身体のバランスを取るため、膝がくの字(屈曲)に。そうなると、ハムストリングスが緊張して硬くなってしまうので、膝痛や坐骨神経痛の原因にも。
などなど、
ざっと上げてみましたが、骨盤が歪むとこりや痛み、内臓の不調などの健康面はもちろん美容面にもデメリットしかありません。
骨盤の歪みの原因になる生活習慣
- 椅子に浅く座る
- 肘をついてうつ伏せ
- 女の子座り(両脚を内旋させて座る)
- 横座り(両足を斜めにして座る)
- ハイヒールを履くことが多い
- 椅子に深く座る
- あぐらをかく
- 体育座り
- 立膝座り
- 足を組む
- カバンを持つときはいつも同じ手で持つ
- 左右どちらかに重心をかけて立つ
などなど、
このような習慣を長時間続けるのは避けましょう!
骨盤の歪み簡単セルフチェック
ここで、ご自身で簡単に出来るセルフチェックを2つ紹介します。
簡単にできるチェックですのでぜひやってみてください。
①壁を使ったセルフチェック
- 壁にかかと、お尻、背中、頭を付ける。
- 壁と腰の間に手のひらを入れる。
手と壁の間隔 | 骨盤の状態 |
---|---|
手のひらがギリギリ一枚分入る | 正常 |
手のひらが一枚以上入る | 骨盤は前傾型 |
手のひらが一枚も入らない | 骨盤は後傾型 |
②足踏みセルフチェック
- 目を閉じてその場で30秒間足踏みをします。
- 足踏みを止めて、最初に立っていた位置から移動した位置をチェックします。
移動していた方向 | 骨盤の状態 |
---|---|
前方に移動 | 骨盤が左右共に前の傾きが強い |
後方に移動 | 骨盤が左右共に後ろの傾きが強い |
左に移動 | 骨盤の左側が下がる歪みが強い |
右に移動 | 骨盤の右側が下がる歪みが強い |
左足が前に、右足が後ろに移動 | 骨盤の左側が内側に閉じて、右側が外側への開きが強い |
右足が前に、左足が後ろに移動 | 骨盤の右側が内側に、左側が外側への開きが強い |
まとめ
いかがでしょうか。
まずは歪んだ状態を把握して、普段の生活や姿勢を見直すことが重要です。
骨盤は上半身と下半身をつないで全身を支える土台の役割と内臓や生殖器を守る役割があります。
そのため、悪い姿勢や生活習慣により骨盤が本来の位置から傾くと、無意識に身体のバランスを保とうとするため、その歪みは全身に波及してしまうのです。そして、こりや痛み、内臓の不調を招き、全身の健康に影響を及ぼしてしまいます。
当院では、身体の軸となっている背骨の調整と土台の骨盤を整えることで問題の解決を図っていきます。
お悩みの方はお気軽にご相談ください。