自律神経が乱れる過程には段階があります。
しかし適切な栄養素を取り入れることで自律神経の乱れを修復、また乱れないために予防することが可能です。
それではどんな栄養素が良いのか見ていきましょう。
目次
自律神経が乱れるまでの過程
- 第一段階 ストレスが自律神経に作用する
- 第二段階 ストレスのため自律神経が傷つく
- 第三段階 自律神経がコントロールしている内臓が痛んでいく
脳が栄養失調になるとストレスが生じる
脳の栄養素は糖質(ブドウ糖)で糖の代謝にはビタミンB群、ミネラルが必要です。
糖質(ブドウ糖)はビタミンB群をとらなければ体内で代謝されません。
ビタミンB群は糖がエネルギーに代わるのに必要不可欠な栄養素なのです。
そして、ビタミンB群・ミネラルは互いに助け合ってはたらくため、バランス良く摂取する必要があります。
糖質と一緒に取りたい栄養素
糖質 + ビタミンB群 + ミネラル
※甘い食べ物で糖をとる場合、急激に血糖値を上げてしまうお菓子やジュースではなく、血糖値の上昇が緩やかなナッツ・芋類・豆類・フルーツなど食物繊維を多く含んだ食べ物がおすすめ
ビタミンB群
「B1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類」
- ビタミンB1:糖をエネルギーに変える
豚ヒレ肉、たらこ、ウナギ(蒲焼)、カシューナッツ、炒りごま、玄米 - ビタミンB2:脂質をエネルギーに変える
牛豚鶏レバー、牛豚鶏ハツ、ウナギ(蒲焼)、卵 - ビタミンB6:タンパク質をエネルギーに変える補助
にんにく、炒りごま、焼きのり、玄米、ししとう、マグロ赤身、牛豚鶏レバー、カツオ - ビタミンB12:赤血球、神経、DNA生成のサポート
あさり、しじみ、牡蠣、サンマ、牛豚鶏レバー、プロセスチーズなど - ナイアシン:エネルギーの生産・代謝、セロトニン生成
レバー、カツオ、マグロ、きのこ、鶏 - パントテン酸:エネルギーの生産や脂質・糖質の代謝
「至るところに存在する酸」という意味で命名された通り、様々な食品に含まれているため通常の食事をしていれば不足しない - 葉酸:血液を作る
焼きのり、わかめ、枝豆、干ししいたけ、ブロッコリー、ほうれん草、春菊、アスパラガス、牛豚鶏レバー、ウニ、卵 - ビオチン:皮膚の不調を予防する栄養素
きのこ、牛豚鶏レバー、落花生、卵、あさり、ししゃも、いわし
ミネラル
ミネラルは糖代謝の上で必要な栄養素ですが体内で作ることができません。
なので常に食事で摂取する必要があります。
日本の一般的な食事をしていれば不足したり過剰に摂取することはありませんが、
その中でも不足しやすいミネラルが下記の通りです。
- カルシウム:骨や歯を構成、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などに関与
牛乳、チーズ、ヨーグルト、豆腐、納豆など - 鉄:血液を構成。特に月経中、妊娠中、搾乳中の女性は不足しやすい
牛豚鶏レバー、牛ヒレ、カツオ、卵、カキ、あさり、小松菜、枝豆など - ヨウ素:甲状腺頬琉門を構成。海藻を食べない人は不足しやすい
海藻
ストレスから自律神経を守る
ストレスから自律神経を守るためにはストレスで消費されるタンパク質をとり、タンパク質の代謝を助けるビタミンB群、ビタミンCをとりましょう。
脳内のバランスを整えるセロトニン
セロトニンとは…
必須アミノ酸の一種であるトリプトファンから生成される脳内の神経伝達物質の一つで、
精神を安定させる働きがあり自律神経の調整に関与しています。
セロトニンと合わせて三大神経伝達物質の
ドーパミン(快感、喜び、感動、達成感など)
ノルアドレナリン(怒り、不安、恐怖など)
これらの情報をコントロールして、精神を安定させる働きがあります。
セロトニンが低下すると…
ドーパミン、ノルアドレナリンがバランスを崩すことによって攻撃性が高まったり、鬱、不安、パニック障害などの精神症状を引き起こすとされています。
近年の脳科学の研究で、セロトニンと更年期障害には関わりがあることが判明しました。
セロトニンの生成に関わる女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少するとセロトニンの量も減少していきます。
脳内のセロトニン量を増やしてあげることで、更年期障害の改善につながると言われています。
セロトニンには食べ物からのトリプトファンが必要不可欠
トリプトファンが多く含まれる食品は…
- マグロ、カツオなどの赤身魚
- ツナ缶
- 鰹節
- 牛肉
- 豚肉
- 鷄肉
- 牛豚鷄レバー
- 卵
- ナッツ類(カシューナッツ、ピスタチオ、ピーナッツ、アーモンド、クルミなど)
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)
- 大豆製品(豆腐、豆乳、きな粉、醤油、味噌など)
- アボカド
- 蕎麦
- トマトなど
セロトニンの材料となる相性のよい栄養素
- 必須アミノ酸のトリプトファン(大豆、鰹節、煮干し)+ ビタミンB6 + 炭水化物
セロトニンを調整しメンタル症状に効果のある栄養素
- ビタミンD
(アンコウ肝、乾燥きくらげ、丸干し真イワシ、すじこ、シラス干し、スモークサーモン、塩鮭、干ししいたけ、卵黄)
自律神経のケア
自律神経の主成分はビタミンB12で、魚介類に含まれます。
また、タンパク質や神経細胞内の核酸の合成を助ける働きにより、傷ついた末梢神経の回復などにも関わっています。
中枢神経へも影響するため、睡眠障害などの改善にも関与していると見られています。
ビタミンB12が低下すると…
赤血球が上手くつくられなくなるため、貧血の原因になります。
このほか、動脈硬化の引き金になったり、神経障害を起こしたりすることもあります。
ビタミンB12が多く含まれる食品は…
- あさり
- しじみ
- 牡蠣
- サンマ
- 牛豚鷄レバー
- プロセスチーズなど
自律神経は交感神経と副交感神経のバランス
交感神経が暴走すると
交感神経が暴走すると活性酸素が溜まります。
活性酸素を減らすには抗酸化物質が必要です。
抗酸化物質とは
- ポリフェノール(植物に存在する苦味や色素の成分)
- カロテノイド(野菜の黄色または赤色の色素)
- イオウ化合物(にんにくやねぎ、わさびなど刺激のある香りの成分のもと)
抗酸化物質と相性の良い栄養素
抗酸化物質(ファイトケミカル)+ビタミンE(煎茶、アーモンド、落花生、モロヘイヤ)
副交感神経が弱まると
副交感神経が弱まると免疫力が低下します。
免疫力を上げるには発酵食品が効果的で、副交感神経が活発な夜に食べるとさらに良いと言われています。
免疫力を上げる食べ物
納豆、味噌、ヨーグルト
GABA(γアミノ酪酸)とは
脳や脊髄で神経を安定させる抑制性の神経伝達物質で、アミノ酸の一つで様々な動物や植物にも含まれています。
自律神経を整えるためには欠かせない栄養素でGABAの合成を促進させるためにはビタミンB6が必要です。
GABAの効果
- ポリフェノール(植物に存在する苦味や色素の成分)
- ストレスを緩和させる
- 睡眠の質を整える
- 脳内の血流を活発にして酸素供給を増やし、脳細胞の代謝機能を高めてくれる
- 副交感神経の働きが活発になり、α波が増加して精神的な緊張を和らげる
- ストレス下での免疫力の低下を抑える
- 学習や作業の効率を高める
- 腎臓の働きを活発にして、血液中の塩分をろ過して、利尿作用をうながして血圧を下げる
不足すると…
興奮系の神経伝達物質(ノルアドレナリン)が過剰に分泌するのを抑えられなくなります。
リラックスできずに精神的な緊張感が続いてしまいます。
GABAが多く含まれる食品
- トマト
- ナス
- カボチャ
- ケール
- パプリカ
- ししとう
- ピーマン
- 発酵食品(納豆、味噌、ヨーグルト、漬物など)
- 発酵玄米
- 茶葉
- メロン
- バナナなど
相性の良い組み合わせ
- GABA +ビタミンB6(にんにく、炒りごま、焼きのり、玄米、ししとう、マグロ赤身、牛豚鶏レバー、かつお)
脳や末梢神経の糖質代謝を助けるのがビタミンB1(豚ヒレ肉、ウナギ蒲焼、松の実、カシューナッツ、炒りごま、玄米など)で不足すると自律神経の代謝が低下します。
ビタミンB1が糖質の代謝を助けることで、脳にエネルギーが行き渡り、神経機能を正常に維持することができるのです。
不足すると…
エネルギー不足により、脳神経や末梢神経に異常が起こることもあります。
- 倦怠感、だるさ
- イライラ
- 肩こり
- 首こり
- 手足のしびれ
- 食欲低下
- むくみ
- 記憶の低下
- 集中力の低下
ビタミンB1が多く含まれる食品
- 豚ヒレ肉
- たらこ
- 生ハム
- ウナギ(蒲焼)
- ベーコン
- 松の実
- カシューナッツ
- 炒りごま
- 玄米など
ビタミンCはコラーゲン(美容のもと)の合成に関わっています。
コラーゲンは細胞同士をつなぐ役割があります。
コラーゲンが不足すると血管や筋肉、皮膚、骨などの結合組織が弱くなり、健康な状態を保てなくなります。
細胞膜に存在する不飽和脂肪酸(植物や魚の脂に多く含まれる)は、酸化されると過酸化脂質(コレステロールや中性脂肪といった体内の脂質が活性酸素で酸化されたもの)になり、老化や生活習慣病などの引き金になります。
ビタミンCには強い抗酸化作用があり、自分が酸化されることにより、過酸化脂質が増えるのを防ぎます。
血管疾患の予防にも役立つとされています。
多くの哺乳動物は体内で合成できますが、人間はできません。
不足すると…
コラーゲンの合成が減って毛細血管が弱くなるため、皮下や歯茎から出血を起こす壊血病になる危険性があります。
ビタミンCが多く含まれる食品
- 赤ピーマン
- 芽キャベツ
- 菜の花
- ブロッコリー
- カリフラワー
- パセリ
- ほうれん草
- キウイフルーツ
- いちごなど
水に溶けやすく、加熱すると壊れやすく、光や空気によって酸化されやすいので、鮮度の良いものをなるべく早く食べるようにしましょう。
イモ類に含まれるビタミンC は、イモのデンプンによって守られているため加熱に強く、効率よくとることができます。
一度に多くとっても余分な物は体外に排出されます。
喫煙やアルコール飲料の摂取、ストレスでビタミンは消費されるため、当てはまる場合には積極的に補給しましょう。
ビタミンDは、心や神経のバランスを整えるセロトニンを調整します。
メンタル症状に効果的です。
血液中のカルシウムを骨に運搬し、カルシウムが骨に沈着するのを助けます。
また、筋力を強くする働きもあることが分かっています。
カルシウムは筋肉収縮に関わるため、ビタミンDが血液中のカルシウム濃度を調整することで、筋肉などの活動も正常に保たれているのです。
紫外線に当たることで体内でも生成されるので、適度な日光浴もおすすめです。
不足すると…
カルシウムが骨に沈着しにくくなり、骨軟化症や骨粗しょう症の原因になります。
乳幼児では成長障害を起こしたりすることもあります。
ビタミンDが多く含まれる食品
- アンコウ(肝)
- きくらげ(乾)
- マイワシ(丸干し)
- すじこ
- シラス干し
- スモークサーモン
- 塩鮭
- 干ししいたけ
- 卵黄
ビタミンDは、アンコウの肝、鮭、イワシ加工品を筆頭にいろいろな魚介に含まれ、きくらげを代表としたキノコ類にも豊富に含まれています。
穀類や野菜には含まれておらず、肉類にももとんど含まれていません。
バランスの良い食事をしよう
たくさんの栄養素が出てきましたが、要はバランスの良い丁寧な食事が大切だということが分かります。
つまり極端なダイエットや偏った食生活により “自律神経の乱れ、頭痛、首こり、首痛、肩こり、肩痛、腰痛” などの症状に繋がってしまうとも言えます。
日本人が昔から親しんできた味噌、納豆などの発酵食品、玄米、魚、野菜、肉をバランスよくいただく。
そうした丁寧な食事を心がけることで自律神経は正常に働きます。
一度、食生活を見直してみるのもいいかもしれませんね。