首こり・首痛のいろいろ

首こりとは、首の後ろで頭部を支えている筋肉群が、過度に緊張することによって感じる違和感を言います。
首こりで感じる違和感には、

  • 硬い
  • 張っている
  • 鉛のように重い
  • 詰まっているような感じ
  • 疲労感
  • 肉が鉄板みたいに硬くなったような感覚

などがあります。
これらの違和感があまりに強いために、頭痛、吐き気、嘔吐、めまい、眼精疲労、頭重感、痛みなどが生じます。
頭痛、吐き気、めまいは他の病気でも発生する症状なので、他の原因を検査する必要がありますが、首こりと一緒に頭痛、吐き気、めまいの症状も一緒にひどくなるのであれば、首こりが原因の可能性が高いです。
また、首の筋肉の過緊張や頚椎のゆがみから、首の可動域が狭くなると、横を向いたり振り返ったりすることが難しくなり、からだごと振り向くようになります。
これを代償運動と言います。

目次

首こり・首痛の原因

首こり、首痛の原因は大きく分けて5つあります。
そのうち一つか複数の原因が合わさって首こり、首痛になります。

①不良姿勢からの頚椎のゆがみ

パソコン、スマホ、勉強、家事、子育てなどで下を向いている姿勢が長時間続いて首に繰り返し負担がかかっているパターン。
頭部(頭蓋骨と内部の脳を含め)はボーリング玉くらいの重さを持っています。
首の筋肉が絶妙に調整しながら頭部を支えているのですが、頭部を前に突き出したような姿勢を長時間続けてしまうと、それを微調整するために、首の筋肉が過度に緊張することになります。
普段私たちは無意識のうちに頚部の筋肉で頭の重さを常にコントロールしています。
つまり、集中力が必要な仕事や勉強により、その無意識の調整が長く続いてしまい、それが筋肉への負担が頚椎のゆがみにつながりこりや痛みとなってしまうのです。

②むち打ち

交通事故や頭を強く打ちつけたりなどの、大きなダメージによって頚椎の近くに損傷が起きてしまい、それに伴い周辺の筋肉が硬くなってしまっているパターン。

③加齢

椎骨と椎骨の間でクッションの働きをする椎間板は、加齢によって水分が減少しやすくなります。
これにより、首の可動による衝撃をうまく緩和できなくなり、痛みが生じることがあります。
また、加齢による筋力の低下も痛みの原因になります。
特に、頭の重さを支える筋肉である胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとうきん)や僧帽筋(そうぼうきん)の筋肉量が少ない高齢者や女性は首のこりや痛みが生じやすいと言われています。

④更年期

更年期を迎えると体質やホルモンバランスが変化します。
そのような変化の際に筋肉の緊張が強くなってしまうことがあり、強い首のこりの原因になることがあります。

⑤過度なストレス

過度なストレスによって自律神経が乱れると体がこわばり、筋肉が緊張して血行が悪くなってこりや痛みの原因になります。
普段私たちが何も感じずに過ごしているときでも、実は首や背骨から非常に弱いこりや痛みの信号が出ています。
このような弱い信号は、脳がノイズとして無視するように処理をしています。
ですが、ストレスが強くなり気分が落ち込むと、脳では「セロトニン」や「ノルアドレナリン」と呼ばれる神経伝達物質が脳内で少なくなってしまい、信号を無視する働きが弱まってしまいます。
このため、今まで感じなかったこりや痛みも感じるようになってしまいます。
また、気持ちが張り詰めた緊張状態が続くと免疫力が弱くなってしまい、首の筋肉に炎症を起こして、首のこりや痛みがひどくなることもあります。

頚椎のゆがみからくる症状

頚椎は背骨の中でも一番頭側にあり、重たい頭を支えています。
頚椎の数は7つで、前側の部分は「椎骨(ついこつ)」と呼ばれています。
後ろの部分は弓のような形をしているので「椎弓(ついきゅう)」と呼ばれています。
「椎体」と「椎弓」に囲まれた空間を「脊柱管」ど呼び、脊髄はこの脊柱管の中に保護されています。
頚椎にある脊髄は「頚髄(けいずい)」と呼ばれ、脳のもっとも下にある延髄とつながっています。
頚髄から8本の神経(脊髄神経)が枝分かれして、腕や手のほうに伸びています。
頚椎がゆがんで脊髄神経が障害を受けるといろいろな症状が出てしまいます

影響される部分と症状

第1頚髄神経

影響部分
自律神経系、頭部の血液供給、後頭部
症状
頭痛、めまい、イライラ、不眠症、後頭部のこり

第2頚髄神経

影響部分
眼、鼻、耳、前頭部
症状
眼精疲労、鼻炎、耳鳴り、白内障

第3頚髄神経

影響部分
顔面、三叉神経、歯、顎関節
症状
顔面麻痺・痙攣、歯痛、顎関節症

第4頚髄神経

影響部分
口蓋、舌、唇、咽頭、横隔膜
症状
声枯れ、喉の痛み、咳、しゃっくり

第5頚髄神経

影響部分
声帯、扁桃腺、甲状腺
症状
喉の炎症、扁桃腺炎、甲状腺の病気

第6頚髄神経

影響部分
頚部の筋群、上肢への神経
症状
首のこり、首の痛み、寝違い、親指のしびれ

第7頚髄神経

影響部分
肩の筋肉、橈骨、正中神経
症状
肩こり、上背部のこりや痛み

第8頚髄神経

影響部分
上腕筋、肘、肩甲骨の周囲筋
症状
上腕痛、肘の痛み、五十肩

など、簡単にまとめてみました。
思い当たる症状がありましたら頚椎のゆがみが原因かもしれません。
ぜひお早めにご相談ください。

頚部の代表的な整形外科疾患

頸部の代表的な疾患に「頸椎椎間板ヘルニア」や「頚椎症(けいついしょう)、頚髄症(けいずいしょう)」があります。
それぞれの特徴をみてみましょう。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎は背骨の首の部分にあたる骨のことで、7つの骨からなっています。
椎骨と椎骨の間には椎間板があり、脊柱の可動性やクッションとしての役割があります。
椎間板は中央の髄核と外側の繊維輪から構成されています。
髄核は水分を多く含む柔らかい物質からなり、繊維輪は丈夫なコラーゲン線維からなるシートが層状に重なった構造で、中央の髄核を取り囲んでいます。
椎間板は常に負荷にさらされていることから、10代後半から変性(老化)が始まり、髄核の水分の減少や繊維輪に小さな亀裂や断裂が生じます。
その亀裂から髄核が突出した状態が頚椎椎間板ヘルニアです。

頚椎椎間板ヘルニアは頚椎の疾患の中で頻度の高い病態の一つで、中高年以降に多くみられます。
症状は髄核の突出した方向によって異なります。
一般的には左右どちらかに突出することが多く、脊髄から分岐した片側の神経根(神経の枝)を圧迫することにより、片側の頚部から肩、肩甲骨、腕などの痛みやしびれ感を生じ、筋力が低下することもあります。
一方、中央に大きく突出した場合には脊髄の本幹を圧迫することにより、手指の細かな運動がしずらい、歩行障害や頻尿、尿閉、尿失禁などの症状が出ます。

頚椎症(けいついしょう)、頚髄症(けいずいしょう)

椎間板が加齢に伴い水分が減少して変化が生じると椎間板の高さが減り、それに伴って椎骨に骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の棘(とげ)が生じます。
また後縦靭帯(こうじゅう)や黄色人体(おうしょく)の肥厚が生じます。
個人差はありますが、このような変化のため周囲の神経が刺激され首が痛くなる状態を頚椎症と言います。
頚部痛だけでなくうなじや肩甲部にも鈍い痛みがでることもあります。
この状態が進行して骨棘が手に行く神経の枝を圧迫すると、手の痛み、しびれ感、運動麻痺が生じます。
この状態を頚椎症性神経根症と呼びます。
またさらに変化が進行して脊髄の通り道が狭くなり脊髄自体が強く圧迫されるようになると、手足の使いにくさ(箸が使いにくい、歩きにくいなど)や、両手足のしびれ感、感覚障害、さらには尿や便の排泄障害が出てきます。
この状態を頚髄症(頚椎症性脊髄症)と呼びます。

上記の症状に心当たりがありましたら病院を受診したうえでご相談ください。
整体で少しでも楽にしていきましょう。

TOPに戻る

上部へスクロール